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元銀行員が語る!金融機関から見た住宅ローン!


最初に

 住宅を購入する際に、ほとんどの方が関わることになる住宅ローン。ここでは金融機関の視点から、ビジネスとしての住宅ローンに焦点を当てて書いています。ほとんどの金融機関が住宅ローンを扱っていますが、住宅ローンの仕組みや金融機関の考え方は、最も理解しておく必要のある利用者には浸透していないように思われます。
 一時期金融機関の目線から、また現在利用者の目線で住宅ローンに携わる者として、このコラムが、これから利用される方々の一助となれば幸いです。

ビジネスとしての住宅ローン

金融機関の住宅ローンに対する考え方

 日本には都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、外資系銀行、ろうきん、農協等の様々な金融機関がありますが、その中で住宅ローンを取扱っていない銀行は皆無ですが何故でしょう。

 それは、金融機関にとって利回りの良い商品だからではないでしょうか。

 金融機関の利益とは、顧客からの預金や国から低利で集めた資金を、それよりも高い利回りで運用した際に生じる差益です。仮に、上場企業に0.5%の金利で1年間100億円(担保なし)を融資するのも運用ですし、住宅ローンで35年間、2.875%で3,000万円(担保有)融資するのも銀行にとっては運用です。

「卵は同じ籠に入れるな」という、運用のセオリーともいえる言葉があります。いくつもの卵(お金)を同じ籠に入れていたら、その籠を落としたりしたら全部割れてしまう(全て無くなってしまう)から分散しなさいということです。金融機関の住宅ローン対する考え方もこれに基づいています。住宅ローンは、融資することによって、何兆円もの資金を何千万円単位、何百万円単位に分散でき、しかも全て不動産という担保付き、金融機関によっては保証会社が債権を保証してくれ、団体信用生命保険で万が一の備えも万全です。場合によっては保証人まで付ける金融機関もあります。銀行業がこのビジネスに参入しない理由がないですよね。

住宅ローンビジネスの戦略

 戦略が無くてはビジネスは成立しませんが、住宅ローンについても同じことが言えます。入口、中間、出口の戦略を考えることなしには成り立ちません。
住宅ローンビジネスにおける、入口とは貸付時、中間とは返済期間中、出口とは完済時となります。

 金融機関にとっては住宅ローンはビジネスですから、そこには利益を求めることになります。借りる側としては支出となりますので、金融機関を比較する際のひとつの基準とならないでしょうか。

住宅ローンに関する一般的な手数料
借入時(入口) 融資事務取扱手数料、保証料
返済期間中(中間) 利息、一部繰り上げ返済手数料
完済時(出口) 約定完済、全額繰り上げ手数料(借換え手数料)

 金融機関に支払う手数料は、返済期間中の金利だけではなく、借入時の事務手数料や保証料、それ以降も繰上返済手数料など、手続き毎に手数料が待っているのです。

 借入時の事務取扱手数料が31,500円という金融機関もあれば、ローン金額の2.5%という金融機関もあり、保証料についても金融機関によって変わります。

 「借入金額の2.5%」と、さらっと書いてありますが
3,000万円の借入なら75万円です。31,500円の金融機関との差額なんと718,500円!

718,500円もあれば、ちょっとしたリフォームをしたり、家具を買ったり、ヨーロッパ旅行だって行けちゃいます!

 何千万という大きな金額の影に隠れて、見過ごしてしまいますが、日常生活で考えると非常に大きな金額が潜んでいます。

 出口(完済時)でも同じです。通常金融機関は第一順位の抵当権を設定できないと融資してくれません。仮により安い金利の他の金融機関に借り換えをしようとしても、現在借りている金融機関に完済して、抵当権を抹消してもらわないといけません。この時に支払う手数料の全額繰上返済手数料が、52,500円という銀行もあれば、その時点の残債に対して2%という金融機関もあります。

 借りたお金を全部支払う(返済する)のにも手数料が必要なのです。

 金融機関としては、「予定では35年間を2%(融資を受けた時の金利)で運用できると思っていたのに、返済をされると予定していた利益が変わってしまう!!」ということです。

携帯電話の一年割を途中解約するのと変わらない感覚かもしれません。

 入口の保証料は最近では『保証料無料』と大々的に宣伝している金融機関もありますが、それ以降の手数料についても充分な説明を受け、総合的な判断をしていく事をお勧めします。

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審査上のポイント

 金融機関の選定が済んだら、次は申込みです。
 日本では住宅ローンを利用するほとんどの方が、不動産会社からの紹介で金融機関を選定し、そのまま申込みをしているようです。その方が書類集めもスムーズで、追加書類等があれば銀行からの連絡が取りやすくよりスピーディーな回答が得られるというメリットもあります。ただ、実際に書類に記入したり、住民票などの公的書類を取得するのはご自身で行なうことになります。

 金融機関の担当者に書類を提出して、「大丈夫でしょうか?問題なさそうですか?」と聞いてもほとんどが「総合的な判断でご回答します」と言われ、その場では、満足な回答は得られません。「融資案件に関しては、断定的な判断を下してはいけない」というルールがありますので、結果が出るまで待ちましょう。。ただいつまでに回答をもらえるかだけは聞いておきましょう。

住宅ローン審査のポイント

1.収入と返済のバランス
金融機関が定める年収の最低ラインに達しているかどうか、また収入が安定しているかをチェックされます。
2.職業(勤務先)
職業や勤務先の業績などがチェックされます。職業、勤務先によっては融資を受けるのが難しくなる場合があります。また、自営である場合は民間企業に比べて条件は更に厳しくなります。
3.勤続年数
勤続年数がチェックされます。年数が短いと、高リスクと判断される場合もあります。
フラット35は前年度の年収で判断されるため、勤続年数は問われません。
4.現在および過去のローン利用状況
住宅ローン以外 (車のローン・カードローンなど) のローン利用状況をチェックします。現在のローン利用残高が多かったり、過去に支払いが遅れた場合などは、融資を受けるのが難しい場合があります。
5.購入物件の担保評価
金融機関や保証会社は、購入物件に対して第一順位の抵当権を設定します。
万が一の場合に、物件をもって弁済に充ててもらうためです。そのため物件の担保評価も審査上重要な要素となります。

 大抵の民間金融機関では、以上の5項目になります。1と4は『返済比率』、5は保証会社または専属部署による『査定評価額』という形で絶対的な数値が出ますが、2と3の審査は総合的な判断になります。

収入と返済額のバランス、現在および過去のローン利用状況

【返済比率】

年収に対する、全ての借入の年間総返済額の割合を返済比率といいます。
年間総返済額に、既存の借入の年間返済額を加算し年収で割り、求めます。

(住宅ローン年間予定返済額+既存借入の年間返済額)÷年収×100

※ここでは住宅ローンの返済予定額を、試算金利3.6%で求めた毎月の返済額×12ヶ月で算出しています。金融機関により試算金利は異なります。
※給与所得者の場合、年収とは源泉徴収票の給与所得(税込)を指します。

民間金融機関では、この数値が35%~40%以下ですと、審査の対象となるといわれています。
フラット35では、店頭金利で計算して、年収400万円未満の方は30%以下、400万円以上の方は35%以下とされています。

【サンプル】会社員(給与所得者)の場合
年収 600万円(税込)
借入額 3,300万円
金利(試算金利) 3.6%
借入期間 35年
その他借入 オートローン:毎月3万円

住宅ローン返済額  138,304円/月→1,659,657円/年
オートローン返済額  30,000円/月→  360,000円/年
年間返済額合計              2,019,657円

2,019,657円÷6,000,000円×100%=33.66% →35%以内なのでクリアー

※管理費・修繕費は返済比率には含まないケースが多いようです。
※銀行によっては返済比率を40%程度まで許容する銀行もあります。
※本件借入の試算金利は銀行によってまちまちですが、実際の実行金利よりは高くしているのが一般的です。

購入物件の担保評価と自己資金の割合

 金融機関や保証会社は独自に担保評価を算定しますが、この担保評価は、この物件に対していくらを上限に融資をしてもいいという基準となる数値で、仮に返済比率の基準を満たしていたとしても、 金融機関は担保評価を基準に算定した上限数値を超える金額での融資はしません。住宅ローンの債権が担保では賄えず、オーバーローンになってしまうからです。また、金融機関や保証会社の算定する担保評価は、積算方式という計算方法を用いているため、流通価格(売買価額)より下回るケースがほとんどです。当然審査する金融機関や保証会社によっても、担保評価は変わりますが、路線価等の国や地方公共団体が出している指標を基に、算定方法をシステム化しているところが多いので、あまり変わらないというのが私の印象です。

 当然、担保評価を上回る金額については、ご自身で用意することが必要となります。よく広告で見る自己資金なし、フルローンで購入!というコピーは、担保評価のことを考えると、現実的には厳しいのではないのでしょうか。

 担保評価は、あくまで金融機関や保証会社が算定する価値で、流通価値とは異なります。流通価格には、主に取引事例比較法が用いられ、類似物件の過去の取引事例を基に算定されます。また、不動産会社の利益や、リフォーム等の費用も価格に反映されています。ちなみにリフォームに関しては、担保評価には鑑みないケースがほとんどです。(リフォーム分も考慮する金融機関も出てきました。)
不動産の売買は相場というものがあっても、絶対的価額というものがありませんので、時代背景によっても変わりますし、売主と買主の気持ちや状況によっても変動します。

勤務先や勤務年数

 『担保評価』や『返済比率』は、絶対的な数値で表せるため、はっきりとした基準がありますが、勤務先や勤続年数はどうでしょう。金融機関の担当者は申込みを受け付けてから、保証会社や担当部署に稟議書を提出します。この稟議書を見た審査担当者の総合的な判断になります。同じ会社での勤続年数が3年以上という規定を設けている金融機関もあるようですが、現在のライフスタイルでは、働き方の多様化やヘッドハンティングされている人も多く、条件が良ければ転職に対して抵抗感がなくなりつつありますので、金融機関としても、そこに重点をおいていしまうと融資できる人が少なくなるので、これに関しては、審査項目の一つの材料程度として考えてください。金融機関は、結局、返せる人に貸したいのが本音というところです。

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金融機関が考える住宅ローンビジネスのリスクヘッジ

1.保証会社 2.団体信用生命保険 3.保証人 4.火災保険 5.担保設定


 住宅ローンビジネスは利回りの良い商品だと冒頭に書きました。

 最大の要因は保証会社の存在でしょう。保証会社とは大抵の場合、金融機関本体の100%出資の子会社です。金融機関が取得した住宅ローン債権は、この保証会社が保証することになります。これが、住宅ローンに保証人が不要な理由のひとつです。万が一のときは、金融機関は保証会社から弁済されます。これで金融機関は、リスク回避できます。

 団体信用生命保険。これは金融機関が保険契約者となり、債務者を被保険者とする生命保険で、万が一債務者が死亡または高度障害状態に陥った場合は、保険会社が金融機関に代位弁済(債務を代わりに返済)します。金融機関としては、リスク回避ができ、債務者としても、今後の返済が不要となります。

 保証会社(保証人)で滞納時のリスク回避、返済不能に陥ったら担保を売却して回収、火災時のリスク回避として、火災保険に質権を設定をする金融機関もあります。(質権の設定とは火災保険証券を銀行が預かることです。)

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最後に

 住宅ローンについて、ビジネスという観点から、金融機関の視点で書いてみましたが、一番の目的は、欲しい物件を購入することであって、金融機関で住宅ローンを組むことではありません。住宅ローンはあくまで購入の為の手段です。全く同じものは2つと無く、その時しか取得することは出来ないその不動産を、気持ちよく購入したいというのは購入を考えている全ての方の願いです。その中で、住宅ローンアドバイスが、お客様の理想に近づくための一助となれば幸いです。

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